【御礼】令和5年 辻旧廿日正月 神事 斎行
令和5年(2023年)2月10日(金):癸卯 旧暦1月20日
午前11時30分(ムラヤー出発)~ 午後3時 辻旧廿日正月 神事 斎行いたしました。
皆様に支えていただき、令和5年「辻旧廿日正月」、すべての神事を無事に斎行することが叶いました。
こころより感謝御礼申し上げます。
皆様、まことにありがとうございました。
令和5年 辻旧廿日正月 神事 祝 💮 波上宮参拝復活 |
波上宮 ◎じゅり馬舞踊奉納 |
海蔵院 ◎じゅり馬舞踊奉納 |
志良堂御嶽 |
イシカブイ ◎じゅり馬舞踊奉納 |
ヌールガー ※ ウンチケーにより本年から御拝順序変更 |
軸 |
三王女の祠 |
辻開祖の墓 ◎じゅり馬舞踊奉納 |
ヒヌカン |
令和5年 辻旧廿日正月 ー 波上宮参拝復活
本年は、波上宮 禰宜・大山晋吾様に多大なお力添えを賜り、長らく途絶えておりました辻旧廿日正月の「波上宮参拝」を復活させていただくことが叶いました。
花街・辻の祭祀を継承しております私どもにとりまして、本年は歴史と胸内に深く刻まれた素晴らしい旧廿日正月となりました。辻新思会一同、喜びもひとしおでございます。
大山様、波上宮の皆様、いっぺーにふぇーでーびたん。
皆々様、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
皆様からご提供を賜りましたお写真を交えながら、令和5年の辻旧廿日正月をダイジェストでお届けいたします。
お写真をご提供くださった皆様(スペシャルサンクス)、こころより感謝御礼申し上げます。いっぺーにふぇーでーびる。
ムラヤー ~ 一般財団法人辻新思会
2023年2月10日(金)。この日の天気予報は雨。
沖縄県那覇市辻二丁目にある「料亭那覇」の楽屋では、午前9時頃から「じゅり馬」の踊り子さんや地謡の方たちが忙(せわ)しくお支度をされていました。髪を結い、お化粧を施し、艶やかな紅型衣装に袖を通します。
そこへ、「すごい雨が降ってきていますよ!」と、どなたかの大きなお声が聞こえてきました。玄関へ廻って外を見ると、激しい雨が地面を叩いています。
波上宮の大山様からも「大変な雨ですが」とご心配のお電話をいただいたほどです。午前10時前のことでした。
「ひどい雨ですね!」「だいじょうぶかしら?」と、みなさんの口々から心配の言葉が漏れました。
「だいじょうぶ。この雨は止みますよ。神事のときに雨は降りません。降ったとしても袖笠雨です」と神人。
滝のように降り注いでいるこの雨は本当に止むのでしょうか?
激しい雨のなか、ご神事の準備のために料亭からムラヤーに移動しました。同じく辻二丁目の当一般財団法人辻新思会の所在地(沖縄県那覇市辻二丁目8番7号)は通称「ムラヤー」と呼ばれております。
かつて辻にはふたつの村渠(小部落)、「前村渠(めーんだかり)」と「上村渠(うぃんだかり)」がありました。
私ども辻新思会は「花街・辻の祭祀」を継承しており、ムラヤーには前村渠の守護神である弥勒様と、上村渠の守護神である御獅子様をお祀りしております。
出発前に、今日の旧廿日正月神事が無事に斎行できますよう、順番に各々、守護神へお手を合わせます。
私ども辻新思会は、二柱の守護神の継承とともに、前村渠と上村渠のビンシーも継承しております。
ご神事の際は、ふたつビンシーを携えて各拝所を御参りします。
出発時刻に近づくにつれ雨脚は弱まり、出発の際に雨はすっかり上がりました。
午前11時半過ぎ、ムラヤーを出発し、歩いて波上宮へ向かいます。
草木は雨露を含み、地面もまだしっとりと濡れておりますが、傘をさす必要はありません。
「神事のときに雨は降らない」という神人の言葉に偽りはないようでした。
波上宮へは、ムラヤーからゆっくり歩いても10分ほどです。
波上宮近くまで歩みを進めると、第一鳥居の前に紫袴に装束姿の方が見えて参りました。
遠くからでもひと目でわかりました。禰宜の大山様です。
“まさか、わざわざこちらでお立ちになってお待ちいただいていたとは!”
大山様のご丁寧なお出迎えに驚きました。恐縮な想いと、本当に波上宮の参拝が叶うのだという実感が込み上げ、感謝で胸がいっぱいになりました。
波上宮 参拝復活 ~ 三ヶ所にお参り・じゅり馬舞踊奉納
辻の旧廿日正月において、波上宮へ御参りさせていただくのは10年以上の歳月が経っております。
大山様にお導きいただき、はじめに、第一鳥居の近くに隠れるようにたたずむ石積みで祈りを捧げます。
そのむかし、旧廿日正月になると、辻のじゅりあんまー(じゅりの母親代わりとなる抱え親)たちが、“上まであがるのは申し訳ない”と慎ましやかに、こちらの石積みから手を合わせておられたそうです。
石積みの前は2~3名が座れるほどのごく小さな空間です。
誰にも気づかれないようなひっそりとした小さな祈りの場は、じゅりたちの慎み深さの現れのようにも感じられました。
大山様にご先導いただき、社殿へと続く階段を上がります。
日頃はムラヤーの祭壇横に掲げております、可愛らしいじゅり馬の旗頭もお供いたします。
旗頭には白馬、五穀豊穣を祈る稲穂が飾られています。
「辻開祖とされる三人の王女は白馬に乗って、首里から辻へ下りていらした」との謂れから白馬が飾られています。
次に、神道に則り二礼二拍手一礼で、波上宮に参拝させていただきました。
三つ目は、限られたごく少数の者たちで、古くからの御拝所で祈りを捧げました。(写真はございません)
波上宮 辻旧廿日正月 じゅり馬舞踊奉納
大山様のお導きにより、社殿前の御庭でじゅり馬舞踊を奉納させていただく運びとなりました。
コロナ禍のため、踊り子さんは4名。地謡2名と計6名で奉納させていただきます。
じゅり馬舞踊奉納の前に、私ども辻新思会の上江洲安明(うえず あんめい)理事長が、波上宮の参拝復活を実現させてくださった禰宜・大山晋吾様へ感謝の謝辞を述べ、波上宮参拝復活の喜びをスピーチいたしました。
「まさかこちらで奉納させていただけるとは」と嬉し涙を浮かべる理事の姿もありました。
「周囲を憚り、社殿のございます上にはあがらず、下の石積みからひっそりと祈りを捧げていた」と伝わるじゅりたち。
じゅりたちの御霊をようやく上までお連れすることができた。
じゅりたちの長年の想いがやっと叶えられた。
神人はあふれる涙を拭っておりました。
海蔵院(かいぞういん)
那覇市若狭一丁目にご鎮座されておられます波上宮から向かうのは、同じく若狭一丁目の海蔵院です。
辻廿日正月神事は、若狭一丁目と辻二丁目にある八ヶ所の拝所をすべて歩いて廻ります。
海蔵院は「鏡御寺(かがんぬうてら)」とも呼ばれております。
当院には、辻開祖とされる三人の王女「ウトダルヌメー・ウミチルヌメー・マカドカニヌメー」、世話役「ウサザカイヌアンマー」の名が記されたトートーメーが祀られております。
現在は私邸の一室となっておりますが、かつては広大なお寺であったそうです。
「首里からお下りになった三王女は、最初に海蔵院にご滞在になり、後に辻の真茅御殿(まかやうどぅん)へお移りになられた」と伝わっております。
志良堂御嶽(しらどううたき)
志良堂御嶽は辻全体の御嶽であり、首里中山、唐への遥拝所です。かつては唐旅の航海安全を祈念していました。
志良堂御嶽からはすべて辻二丁目にございます拝所となります。
イシカブイ
このあたりからお天気が回復し、てぃーだが眩しく、青空が広がりました。
ヌールガー
ヌールガー(祝女井戸)は辻開祖の三王女が使っていたとされる井戸跡です。
さまざまな事情により、幾度かのウンチケーを経て、令和5年2月6日(旧暦1月16日・乙未)、こちらへお移りいただきました。
現在のヌールガーは、軸とイシカブイの間にございます。こちらが安住の地になるかと思います。
軸(じく)
軸は、辻開祖とされる王女たちのふるさと「首里」への遥拝所です。
辻を創建された摂政・羽地朝秀様への御恩報の祈りを捧げるよう香炉は首里に向かって配されています。
三王女の祠
辻開祖の三王女「マカトガニヌメー」「ウミチルヌメー」「ウトゥダルヌメー」をそれぞれ祀っております。
こちらの祠は、1920年(大正9年)頃に設立された貸座敷組合によって、「昭和ニ年十一月十一日 改築」との記録がございます。
※一般財団法人辻新思会は貸座敷組合の流れを汲んでおり、当会の前身「財団法人辻新思会」は貸座敷組合役員とじゅりたちによって1977年(昭和52年)に設立されました。
辻開祖の墓
辻開祖のお墓です。
開祖たちが高貴な身分であったことを示す「クガニジーファ(黄金の簪)」がともに埋葬されております。
この頃、再び空が暗くなりはじめ、雲行きが怪しくなって参りました。
ヒヌカン
前村渠と上村渠のヒヌカン(火の神)をお祀りしております。
喜びの舞
午前11時30分からはじまりました辻旧廿日正月。締めくくりは、喜びの舞「じゅり馬」です。
すべての御神事を斎行できましたのは、午後3時頃でした。
辻開祖の墓あたりから雨雲が近づいて参りましたが、雨に当たることなく、無事に旧廿日正月神事を斎行することができました。波上宮参拝復活もついに叶えられ、辻新思会一同、感謝感激です。
支えてくださった方、見守ってくださった方、波上宮禰宜・大山様、波上宮の皆様、お写真をご提供くださった皆様(スペシャルサンクス)、皆々様にこころより感謝御礼申し上げます。
いっぺーにふぇーでーびたん。
来年令和6年の旧廿日正月は、新暦2024年2月29日(木)です。
また来年も何卒よろしくお願い申し上げます。
お写真・資料ご提供のおねがい
お手元に「辻旧廿日正月」「じゅり馬」辻の祭祀、歴史・伝統文化、行事、辻や若狭のむかしの様子など、お写真や資料をお持ちの方、ご提供くださいますと大変有り難く、非常に助かります。お気軽にご連絡くださいませ。
何卒よろしくお願い申し上げます。